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【はじめに】 | ||||||||||||||||
長い間、我々が求めてきた日本のかたちとは一体何なのでしょうか。 多くの国民が希望を失ったあの敗戦から、世界第2位の経済大国へ成長した日本、物質的に豊かになった日本、お金さえあれば何でも手に入る日本。これが本当に我々の望んだ日本のかたちなのでしょうか。1949年戦後荒廃した日本を立て直そうと、東京の地で志高く立ち上がった先人達が求めた「明るい豊かな社会の実現」は、ある部分ではずっと以前に、その当初の目的を達していたのかもしれません。現在、拝金主義、経済至上主義など、過当競争社会が現実のものとなり、その代償として、失ったものの大きさに気付き始めた日本が、今大きな転機を迎えようとしているのではないでしょうか。 儲かりさえすればいいと言う恥知らずな経営、他人を踏み台にしてものし上がりたいと言うサラリーマン。各々が自分勝手な言動で、人に迷惑をかけることを何とも思わない利己主義的な大人達。思わず「恥を知れ!」と怒鳴りたくなる人も少なくないように思います。アメリカの女性人類学者、ルース・ベネディクトは「菊と刀」の中で日本の文化は恥の文化であると紹介しました。恥を知る国民それが日本人だと言っています。 日本を取り巻く状況を考えた時、憲法第3章第13条で保障される、個人の「尊重」と「権利」が混同され、利己主義的な発想に依存してしまい、人と人との「こころの絆」であったり、「道徳心」や「感謝の心」であったり、日本人が本来備えていなければならない大切な「思いやりの心」が見過ごされ、人間関係のちょっとしたすれ違いから、新たな社会問題が数多く生じているように思います。我々はこれらの根本的な要因についてしっかりと調査研究し、責任世代として英知と勇気と情熱を持って活動を展開して行かなくてはなりません。 歴史的な変革が起こる時、様々な地域で身を捧げ貢献したのは、いつもその時代の青年でした。ここ岩国の地においても例外ではなく、あの激動の昭和時代に、志を同じくする先駆者達が集まり、地域発展、経済復興の為、強い信念で青年会議所運動を発足させ、勇気を持って展開されて来ました。希望の持てる豊かなまち、安心して暮らせるまち、そして人々の笑顔が溢れるまち、そんな地域を目指して五十有余年。先輩諸兄より脈々と受け継いできた社団法人岩国青年会議所は、本年度53年目を迎える事となりました。 この地域に様々な足跡を残してこられた先輩諸兄に、改めて感謝の気持ちと敬意を表したいと思います。 我々青年会議所メンバーは、虚無感、不満感が漂うこの混沌とした世の中であるからこそ、「惻隠の情」をもって、国を憂い、地域を愛する心はもちろん、忘れかけていたものを取り戻し、我々が望む日本のかたち、岩国のかたちを創造しその道しるべとなるべく、我々自身が「素直な心」で、いま一度、歴史を顧みて、真に自立した「明るい豊かな社会の実現」を目指さなければなりません。 |
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【我がまち岩国を愛する心】 | ||||||||||||||||
一昨年岩国市は、我々岩国青年会議所が「ピュアGANQ事業」を通して10年来手掛けてきた広域合併を果たし、県下最大の面積を持つ新岩国市として市政をスタート致しました。 我々はこの我がまちに対して、改めてその歴史と伝統・文化を尊ぶ心を養わなければならないと考えます。その為には、我がまち岩国を今一度学習し、あとから来る者達に伝えていかなくてはなりません。学習し尊ぶ心を養う事で、地域を愛する心が更に確立されるのです。水と緑豊かな大自然溢れる地域で暮らせる事に感謝し、地域を築いた先人を敬い、これからの地域を守っていく強い使命感を持たなくてはならないのです。約2年が経過した我がまち岩国は、財政問題に加え、米軍再編問題、民間空港再開への取り組み、更には愛宕山地域開発事業中止による跡地問題等など、様々な課題や問題点を抱え、その対応に追われる日々が続いている所であります。我々青年会議所の役割として、これらの問題に対しても真剣に考え、責任世代としてコミットして行かなければならないと考えます。 2006年度には、我々は、市民の政治に対する意識を向上させるため、そして政治をより身近にわかりやすくするために、我がまちの首長選挙時にローカルマニフェスト型公開討論会を開催致しました。2年が経過した本年度、このローカルマニフェストの検証を行わなければなりません。ローカルマニフェスト型公開討論会は、この検証会の開催によってはじめて本義を全うすることが出来るのです。行政と民間がひとつになって、地域を作り、地域を愛し、市民が笑顔で暮らせる地域を創っていくためにも、これらを総括的に捉え、明るい豊かな地域へと導いていかなくてはならないのです。民間でしか出来ない事、行政でしか出来ない事、我々岩国青年会議所はその行政と民間との懸け橋となるべき存在であり、歴史が物語るように重要なポジションを受け持つ団体であると強く責任を感じております。 |
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【道徳心は思いやりの心から】 | ||||||||||||||||
現在、痛ましい殺人事件、企業やいわゆる聖職者といわれる立場の者の不祥事、恥辱的な犯罪、弱者を狙った詐欺事件など連日のように報道されています。 このような社会が明るい豊かな社会と言えるのでしょうか。私たちは、このモラルの低下の要因を今一度見つめ直さなくてはなりません。かつての日本には大自然との共存の中で、バチと恵みを併せ持った八百万の神が存在していました。更には、規律正しい倫理観・道徳感の不文律である武士道精神が存在し、さらに地域で協力し合い助け合いながら生きてきたローカルコミュニティーなど、様々な要因が日本人特有の崇高なモラルを保ってきました。このモラルの低下が、現代の社会問題の大きな原因になっていると考えます。明るい豊かな社会を実現するためには、個人を尊重しながらも、公共心も同じように尊重する調和のとれた社会を目指していかなければなりません。そのためには、一人ひとりが「思いやりの心」と「素直な心」をもとに正しい倫理観で判断し、「利他の精神」を持って行動する、人として生きるための道徳力を高めることが重要です。そして、道徳力を高め自己を確立し、また、健全な社会をつくろうとするとき、最も必要とされるものは、確固とした理想を持ち、それに向かって自らを律し実現しようとする強い意志にもとづいた行動であると考えます。 私たち青年会議所メンバーは、明るい豊かな社会を実現するという理念を持ち、地域社会をリードすべき立場を自覚し、崇高な理念を掲げ活動をする団体として自らの道徳力を高め、公の立場で地域社会の模範となって行動していかなければならないと考えます。この行動こそが地域に住む人々の道徳心の復興に繋がると確信しております。 |
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【Jayceeとして誇りを持って】 | ||||||||||||||||
JC三信条は、社会への奉仕・個人の修練・世界中の人々との友情です。この三信条も研修事業を通ししっかりと学んでいかなくてはなりません。崇高な使命感を持ったJayceeを育成し、規範的な姿を市民に示していかねばなりません。 私たちJayceeが変われば、必ずや市民の意識は変えられます。市民の意識が変われば世論が変わる。世論が変われば政治が変わり、日本が変わる。日本が変われば、世界さえも平和へと変革出来るのです。誇りを持って『社会への奉仕』を行い、『個人の修練』へと繋げしっかりとした道徳観・倫理観を持った志士となり、真に自立した国家を創造し『世界との友情』を育むべく崇高なJayceeを創造しなくてはならないのです。志を高く持ち続けるJayceeを輩出していくことこそが、まさに私たちが、明るい豊かな社会を創造する一番の近道であると考えます。我々は地域に必要とされる団体でなくてはなりません。真の大義を見据えることのできる人材を創造し、真に自立した地域発展に寄与する事で、我々の存在価値が得られるのではないでしょうか。評価はあとからついてくるのです。本年度この大義を持ち、しっかりと研修を行っていきたいと考えます。 |
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【真の公益に寄与する組織へ】 | ||||||||||||||||
本年は公益法人制度改革元年です。この改正は現在の社団法人よりも、透明性の高い仕組みの構築を目指して行われ、より一層の開示性、透明性、公共性が求められる事となります。我々は何の為にJC運動を行うのか、設立目的や存在意義など根本的な問題を正面から検証し、この問題に取り組んで行く必要性があります。「公益」とは読んで字のごとく「公」と「利益」と読み取る事が安易に出来ます。つまり、不特定多数にとって良い事と理解出来ると思います。我々岩国青年会議所の活動が、市民の利益になると考えた時、岩国青年会議所は本年度中に公益社団法人格取得を視野に入れた、準備をしておかなければならないと考えます。 |
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【真の国際人としての心】 | ||||||||||||||||
継続事業でもありますGJS(グローバルジュニアスクール)は本年で、5年目を迎えます。これまでは、サッカーを中心としたスポーツ交流・文化交流が主な内容でしたが、5年目を迎えるにあたり再構築する必要性を感じます。 国際交流活動の必要性、意義は『世界との友情』を創るにしても非常に重要な位置づけと考えます。ますますグローバル化の進む時代、真の国際人としての自覚とそこに行き着くための経験というのは必要不可欠なものです。さらに真の国際人としての感覚を育む為に、自国の歴史を正確に学習すること、そして、日本独自のアイデンティティーをしっかりと認識し、さらに他国の文化を尊敬する心を醸成する事が、早道であることを確信致しております。 近年、国歌「君が代」を歌わせない学校、また、そうさせない教育関係者の資質が大きくマスコミに取り上げられております。ある雑誌で「愛国心」という言葉は、他国を蔑視する言葉なので非常に危険であると書かれていました。捉えかたは様々ありますが、私は自国を愛する心と捉えています。「この国に生まれて本当に良かった。」多くの国民はそう思っていると思います。この日本人の誇りを、我々は根気強く地域へ発信して行かなければならないと考えます。我々はこれらの現状を踏まえ、この数年に亘るGJSの検証を行うと共に、この事業の新たなる展開を考え、大義を見据えた国際交流事業に進化させていく必要があるのです。 |
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【質は強さなり】 | ||||||||||||||||
JCは満40歳で卒会という定年制がある団体です。会員の入れ替わりの周期も早く、会員がJCを伝え合うべき特有の伝統や、組織の教育などが希薄になりやすいように感じます。会員拡大活動を行うにあたり、会員同士の研修の場や知識の共有できる環境作り、内部的な広報活動等、会員を拡大すると共に会員の知識認識の共通化を図る必要性があると考えます。また、一年を通し様々な事業を展開していく我々の事業や活動を、しっかりと地域へ向け情報発信し広報活動していかなければなりません。あらゆるメディアを活用し、発信し続けていくことにより地域への認知度を上げ、我々の活動に対する理解を深めて頂き、より円滑な会員拡大の活動が出来る様、繋げていきたいと考えます。 最近、全国的に会員数の減少が大きな問題となっております。その背景には、経済状況だけでなく、JC活動の魅力の無さがあげられるのではないでしょうか。 「魅力ある」JC活動をするには、LOM・職場・家庭などで自分が、周囲の人から「何」を期待されているのかを明確に確認し、それに対して期待以上の結果をもたらすことの出来る人格を備える必要が有るのです。「期待」無しには何も始まらないと思います。またこの「期待」を理解することが、「魅力ある」JC活動に繋がり、会員拡大にも繋がると考えます。 |
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【中国地区協議会との連携】 | ||||||||||||||||
本年、社団法人岩国青年会議所より中国地区協議会会長を23年ぶりに輩出する事となります。日本青年会議所ともかかわりが大きくなり、組織の中枢に参画出来る事で、メンバーが日本青年会議所をさらに身近に感じる絶好の機会になるはずです。言い換えれば中国地区内56LOMの中でも、取り分け注目されるLOMとなることをメンバー一人ひとりが自覚しなくてはなりません。また会長が大いにリーダーシップを発揮し、中国地区協議会の存在意義を高められるように支援していかなければなりません。支援することによって培われた経験と知識を伝えることが出来れば、個々の更なるスキルアップに繋がりまたLOMそして地域社会へも必ずや発展的影響を波及する事になるはずです。メンバー一人ひとりが「協力」に目的意識を持ち、未来に活躍すべく、社団法人岩国青年会議所を築き上げる礎とするべく、共にあゆみ共に学ぶ1年間にしたいと考えます。 |
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【おわりに】 | ||||||||||||||||
我々は半世紀以上にわたり、先輩諸兄の岩国を思う熱い情熱と率先した行動力によって、培われてきた社団法人岩国青年会議所の伝統と歴史に感謝し、この岩国の未来が、笑顔溢れる素晴らしいまちとなるよう思いを馳せ、様々な問題に挑戦する、強い使命感と責任があります。 今こそ、社団法人岩国青年会議所のメンバーが大いなる誇りと気概を持ち、大きな目標に向かって考え、行動し、英知と勇気と情熱を持って真の「明るい豊かなまちづくり」へ向け邁進しなくてはならないのです。「素直な心」で人に接し、「素直な心」で人の話を聞き「素直な心」で行動する事で、この崩れかけた現代社会を再生できると確信し取り組んでいく所存です。 |
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〜自分の感受性ぐらい〜 茨城のりこ ぱさぱさに乾いてゆく心を ひとのせいにはするな みずから水やりを怠っておいて 気難しくなってきたのを 友人のせいにはするな しなやかさを失ったのはどちらなのか 苛立つのを 近親のせいにはするな なにもかも下手だったのはわたくし 初心消えかかるのを 暮らしのせいにはするな そもそもがひよわな志にすぎなかった 駄目なことのいっさいを 時代のせいにはするな わずかに光る尊厳の放棄 自分の感受性ぐらい 自分で守れ ばかものよ |
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